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第2章 忍び寄る闇

第7話 〜挑戦〜

ここはクルス町の小学校。生徒、先生ともにメダロットを連れている。

昨日行われたスザクと紫苑のロボトルで紫苑が勝利したことは爆炎が空に広がるように学校中でウワサされている。

放課後、ここ紫苑の教室でもその話題が持ち切りになっていた。

少女「紫苑ちゃん、スゴイね!あのスザクを倒しちゃうなんて。」

紫苑「そんな・・・照れるよぉ・・。」

それを細い目で見つめる少年が一人、その少年の近くのイスに足を伸ばして座る別の少年が一人。

スザク「手加減してやったんだ。ありがたく思えぇーつーの。」

ゲンブ「手加減して負ける程かっこ悪いものはありませんよ。」

スザク「かぁー・・・お前もオレが負けて嬉しいかい。」

ゲンブ「いつでも勝てる、そういう誤った自信が生んだ結果です。たしかにあの戦い、いつものスザクではなかったですが。」

スザク「やはり人間よりメダロットの方が判断は優れてるかぁー?オシロイの言った事、バカにできねぇ〜な。」

オシロイ、それは同じクラスメートのメダロット社の新製品開発部長の息子の白粉 高師(オシロイ タカシ)である。

メダロットの理屈を言わせれば天下一品、小、中学生の中で右に出るものはいない。

だが理屈だけでロボトルの腕はサッパリである。

ビャッコ「スザク、オレンジジュース買ってきたでやす。」

スザク「おう。」

スザクはビャッコから缶ジュースを1本受け取った。炭酸は入っていない、果汁70パーセントである。

スザク「ナンバー3、シボリカジューってパーツ知ってるか?」

ビャッコ「ネットで噂になってるパーツでやすね。確認はされてないようでやすが。

     でもなぜまた?」

スザク「果汁ってのを見て思い出しタンだぁよ。どこかにねェのかネ?」

二人の話に飽きたのかゲンブは紫苑達の方に加わりに行った。

それを見てスザクはにやつきながらゲンブに聞こえるようにつぶやいた。

スザク「ナンバー2は話に加わらねぇ〜か〜・・・あいかわらず女が好きなんだねぇ。」

だが聞こえなかったのかゲンブはそのまま進み続けた。



ゲンブ「紫苑さん。」

紫苑「え?」

話に割り込んだきたのがスザクでなくゲンブだったのに対しまわりの人は安心している。

でもこれからゲンブが何をいいだすのかドキドキしているのも手に取るようにわかる。

ゲンブ「よければこれからロボトルしませんか?公園ではスザクに邪魔されましたからね。」

紫苑「いいね。うん、しよう!レプラス!」

レプラス「待ってたよー!ロボトルー!よっしゃー!」

ヘルメス「ハハハ、友情もだいぶ深まったようだな。これでそれがしも本気で戦える。」

レプラス「じゃあグランドに行こう!」

ゲンブ「よし。ヘルメス、行こうか。」

ヘルメス「御意。」


第8話 〜決闘〜



グランドの土に静かに木の葉が舞っている。風が温かく辺りを包む。

ヘルメスとレプラスは対峙したまま一歩も動かない。

二人の間をトンボが一匹通り過ぎる。二人はそれすら視界に入っていないようだ。

雲はいつもより白い。そしてその白いキャンパスの中に一点、赤色が燃えている。

太陽は反対の方向に輝いている。ではあれはなんだろう?その赤い点も太陽と同じく輝いてるように見える。



先に攻撃したのはヘルメスの方だった。ヘルメスは無言でレプラスの少し右に弾を2,3発撃ち込む。

レプラス「?当たってないぞ。」

次に左に5発、また右に1発ヘルメスの右後ろに2発撃つ。

目をつぶってあらかじめ暗記した場所に撃っているように見える。

紫苑「???ゲンブ君、わざとやってる?」

ゲンブは目を閉じ呪文を唱えるかのごとく小声でつぶやいている。その声に応じ、正確な場所に順々に撃っていく。

紫苑「レプラス、キュアウォーター、リペアスプリング!」

レプラス「あいよ!」

レプラスがお決まりの赤いボールをばらまいた。左腕を使用しようとした瞬間、ゲンブの目が開き

ゲンブ「射撃、右30度60度75度正面45度80度左15度40度。後方に3歩移動して旋回しろ!ヘルメス。」

ヘルメス「御意。」

ヘルメスは指示された通りに右腕と左腕を使い分けて発砲する。そして3歩後ろへ移動、後ろを向いた。

弾は全てレプラスの投げた連携攻撃に1発ずつ命中していた。

そしてレプラスがリペアスプリングを発動し、ヘルメスを攻撃した、と思いきや、

連携攻撃の爆撃はレプラス目がけて飛んできたのである。

紫苑「レプラス!よけて!」

レプラス「うわぁあ!!」

間一髪、弾頭はレプラスすれすれに飛び直接ダメージは受けなかった。だが爆風による多少の損傷は否めない。

紫苑「なぜ・・・」

ゲンブは目を閉じ、ヘルメスは振り返り腕を交差して答えた。

ヘルメス「連携攻撃の砲台が出る方向は常に一定である。発射前に軌道をうまく変えれば相手に向かって爆炎を飛ばすことも可。」

そしてヘルメスはレプラスに向けてライフルを1発、今度は右肩の中心に命中する。

左腕のマシンガンをレプラスの前の地面に6発、直後またライフルを今度は左肩に当てる。

レプラス「ぐぅ・・・なんでそんなに速く攻撃できるんだよ・・?」

紫苑「レプラス!ヘルメスの頭を見て!」

レプラス「んぅ?・・・!!あれは!?」

ヘルメスの頭部についてるたてがみが少し横に広がり赤く光り輝いている。そして微かにシュー、シューという音がしている。

レプラス「なにかを取り入れてるような音がしてる・・・。」

ゲンブ「そう、ヘルメスの頭部は空気を取り込み、パーツの冷却を早めることができるのです。

    よってヘルメスは右腕、左腕の充填、放熱は共に1秒です。」

それに比べてレプラスは最低でも10秒以上はかかる。

なにか新しい作戦を考えなければ負けるのは時間の問題だ。

紫苑「く・・・・レプラス、少し頼みがあるんだけど・・・いい?できる?」

紫苑が小さな声でレプラスに話す。当然ゲンブには聞こえない。

レプラス「わかった、紫苑、やってみるよ!!」

ヘルメス「ドーナツ砲撃はきかぬぞ!」

マシンガンで10発、レプラスの右腕に向けて発砲した。

だがそれをレプラスはギリギリで回避した。

紫苑「キュアウォーター!」

レプラス、紫苑「(チャンスは一瞬!!)」


レプラスの右腕からいくつか赤いボール、連携攻撃が発射される。

ヘルメスは鮮やかに全ての連携攻撃に1発ずつ銃弾を撃ち込む。

それらの行動は二つ合わせて1秒以内で行われた。

学校には静かに銃声だけが鳴り響く。

ヘルメス「リペアスプリングを使用していない・・・・?」

正面を見るとレプラスの姿が確認できない。その場からいなくなっていた。

ヘルメス「!?おのれ!どこへ行った!?先程の連携攻撃は目晦ましか!?」

ヘルメスはキョロキョロと辺りを見回す。だがどこにもいない。

紫苑「レプラス、いけぇ!」

ヘルメス「!」

レプラス「おりゃぁあ!!」

レプラスはヘルメスの背後から尻尾で攻撃した。

ヘルメスは尻尾を受け止め左腕の銃口を脚部に向ける。

ヘルメス「それがしの死角から攻撃したことは見事、だがこの脚部攻撃は既に見切っていた。」

レプラス「これは見切っていたかい?」

レプラスは左腕をヘルメスの目の前に向けている。その左腕には連携攻撃のボールが握られている。

ゲンブ「何・・・・?」

右腕から連携攻撃が発射された時、左腕で1個だけ持ち去りヘルメスの背後に移動したのである。

この状態でリペアスプリングを使用し攻撃すればヘルメスは防御できずに頭部にクリーンヒットするのは確実である。

ヘルメス「ぐっ・・・・・・・。」

ゲンブ「やはりスザクを倒した人に勝つことはできなかったですね。ギブアップです。」

ゲンブは自ら負けを認め勝負を終わらせた。今の状態のようになった場合ギブアップした方がメダロットを傷つけずに済む。

ギブアップもひとつのメダロッターのテクニックと言える。



ヘルメス「良い戦いであった。」

ヘルメスは深々とレプラスに一礼した。

ゲンブ「では、これを紫苑さんにあげます。」

ゲンブは紫苑にヘルメスの脚部パーツ「アブダクター」を渡した。

紫苑「え・・?パーツのやりとりアリだったの?」

ゲンブ「最初は無しのつもりでしたが・・・気が変わりました。今の紫苑さんなら本気のスザクにも勝てるでしょう。」

紫苑「あ、ありがとう・・。」

ゲンブ「では僕はこれにておいとまします。皆さん、また明日。・・・・・・・・ヘルメス?」

ヘルメスはずっと空を見上げている。

ゲンブ「どうしました?」

ヘルメス「いえ、今日は太陽が二つあるのか・・と不思議に思っていたのです。」

ゲンブ「太陽が二つ?」

ゲンブも空を見上げた。白く輝く太陽と赤く輝く太陽がある。

ゲンブ「あれはメダロットでしょう。だれかの赤い浮遊メダロットが浮かんでいるのです。」

ヘルメス「やはり・・太陽は二つも存在しませんか。」

ゲンブとヘルメスは校門を出た。



その会話を木の枝に隠れて聞くメダロットが1体、ゴウカンの使用メダロット、ハデスである。

ハデス「太陽のようなメダロット・・ついにきたか・・。」

その言葉の余韻が消えないうちにハデスはその場所を速やかに離れた。


第9話 〜大自然〜



所々に綺麗な野の花が咲き乱れている。遠くの方で小鳥が合唱している。

緑の住人達がささやき妖精が舞う。雲はやさしく見守っている。

紫苑、セイリュウ、ゲンブ、オシロイは近くの山にピクニックに来ていた。

山の頂上でお弁当を食べるつもりである。当然レプラス達もいる。

レプラス「そーいえば君の名前聞いてなかったね。」

???「おいどんの名でごわすか?」

オシロイの使用メダロット、イクシオン。製品名はサイクロッサー。

金棒や一つ目、一本の角を持つ。雷雲に乗る鬼を思い立たせる容姿である。

イクシオン「おいどんはイクシオン。よろしくたのんまっせ。」

レプラス「僕はレプラス。よろしくー!」

セイリュウ「そろそろ着くよ。」

頂上に到着した。木に囲まれた道を出るとそこは開放された草原、所々で蝶が飛んでいる。

草や花のにおいが入り混じり美しいハーモニーを奏でている。

レプラス「おーーーーーーーー・・・。」

レプラスは感動し、しばらくその草原を眺めていた。その後急にはしゃぎだし、草原へ飛び込む。

それを見た紫苑はくすっと笑いを漏らす。

紫苑「子供だね〜。」

ステルミア「最初にここを訪れた人はまずあのような気持ちになりますよ。紫苑、あなたもそうでした。」

紫苑「え!?そ、そうだったっけ?」

ステルミア「はい。」

紫苑は一気に顔を赤くした。

ゲンブ「まだ昼食に時間があります。少し遊びますか?」

レプラス「んじゃロボトルしよう!ロボトルー!」

そのレプラスの頭をイクシオンが右腕の金棒で軽く叩いた。

イクシオン「レプラスどん、この美しい景色を壊すつもりでごわすか?」

レプラス「あ・・・僕の連携攻撃じゃ影響が大きいや。」

イクシオン「おいどんの重力攻撃も多くの植物達の命をとってしまうでごわす。これだけ草花が多いと・・・。」

ヘルメス「ではどうする?花の王冠でも作ろうか?」

レプラス「王冠!?」



4人(メダロットを含めると8人)はお弁当を食べている。メダロット4人はオイルを飲んでいる。

レプラスとセイリュウは野の花で作った王冠をかぶっている。

ゲンブ「ヘルメスがこのようなことを言うとは思いもしませんでした。」

レプラス「花で王冠がつくれるんだもんなー。」

ヘルメス「それがしはふと女型にあこがれる時がある。いつも冷酷な自分がキライになる時がある。

     紫苑殿やセイリュウ殿がうらやましくなる時がしばしば・・・・。」

紫苑「ヘルメス・・。」

オシロイ「なんていうでしたかな〜そういう感情・・・・まあいーや。」

ゲンブ「じゃあ今度の休みに女型のティンペットとパーツを買いに行こう、ヘルメス。」

ヘルメス「御意。」

ゲンブ「わかりました・・・でいいよ・・もっとはじけろ。」

ヘルメス「わかり・・・はじけ?」

イクシオン「すぐには無理でごわすな。」

ヘルメス以外全員は一度に笑った。ヘルメスだけは首をかしげたままである。

ヘルメス「???・・・わかり・・・まし・・・・?????た?はじける?・・???」


第10話 〜角集団〜



突然ヘルメスが立ち上がり遠くを眺めた。

ゲンブ「どうした?ヘルメス。」

ヘルメス「いや・・・・マスター、あれはなんです?」

ゲンブ「ん・・・・?あれは・・・」

あまり遠くないところに白いスーツを着て十字架が付いた金魚蜂らしきヘルメットをした集団がロボトルらしきものをやっている。

一人だけ黒いタイツで先端が丸い角が生やしている人らしき物体が見える。

どうやら穴を掘っているようだ。

セイリュウ「あれは・・・ロボロボ団!?」

ロボロボ団、それはメダロットで悪事を働く集団である。お世辞にもかっこいいとは言えない格好で窃盗、自然破壊、施設破壊などを企む。

数年前兵器としてメダロットを作成し、それを使って世界を征服しようとしたが伝説のメダロッター、あがたヒカルによって阻止。

その直後メダロットの暴走を制御するリミッターを解除し再び世界を征服しようとしたがこれも少年イッキに阻止され、

幹部の殆どが捕まったのだがどうやら生き残りがこのクルス町付近にまで来て勢力を拡大させたらしい。

イクシオン「やめさせなければいけないでごわす。ここで穴を掘るなどもってのほか。」

そう言うなりイクシオンは飛び出して行った。

オシロイ「まてイクシオン!そんな無用心に・・・!」

だが指示が遅かった。イクシオンは集団のすぐ近くに着地した。

集団の所々で不思議なざわめきが聞こえる。

イクシオン「自然を汚す愚か者ども!これ以上その愚考を続けるのならこのおいどんを倒してからにするでごわす!」

集団「なんだロボ・・・・この変なメダロットはなんだロボ。」

イクシオン「ロボ?」

オシロイ「イクシオン!無茶するな!」

イクシオン「マスター!」

集団「お前のメダロットロボか!?全くしっかり教育しろロボ!」

集団「メダロット三原則、人間を故意に攻撃してはいけないが働かないというのは悪い教育してる証拠だロボ!」

イクシオン「人間・・・?マスター、こいつら人間でごわすか?」

ステルミア「この物体は人なのですか?」

ゲンブ「人!?この金魚蜂が人なのか・・・・・・。」

レプラス「・・・・・背中にぜんまいがついてるから人じゃないんじゃないか?冗談だろ。」

紫苑達は一斉に笑った。

集団「バカにしたなロボ!今に後悔するロボ!!親方ッ!」

親方と呼ばれた男は先程遠くから見た時に一人だけいた黒いタイツの男である。

親方「親方はやめろと言ったはずだロボ!オレのことはバベル様と呼べ!ロボ。」

バベルと名乗ったこの男がこの集団を率いるボスらしい。

イクシオン「おぬしがボスか!!ここで穴を掘るのはやめるでごわす!」

バベル「いい物を見つけたのでね・・それはできないロボ。」

集団「帰れロボ!帰れロボ!!」

ゲンブ「どのような理由があるにせよ、許可無しに自然を破壊するのは良くない行為です。今すぐやめなさい。」

バベル「子供の相手をしてる暇は無いロボ。」

ゲンブ「ではこうしよう。ロボトルでこちらが負ければこのまま引き下がる。そちらが負ければ穴を掘るのはやめて帰ってもらおう。」

バベル「ほう、その挑戦このオレがパーツ調達整理部長と知っての言葉かロボ?おもしろい、受けて立つロボ。」

レプラス「紫苑、パーツを交換してくれ!ここじゃ連携攻撃はできない。」

紫苑「OK!ハンドルハンド、ストローハンマー転送!」

レプラスの両腕が青く輝き白い光を漏らす。光が消えた時、レプラスの腕は変わっていた。

バベル「12号、8号、45号、参戦すれロボ。」

12、8、45号「りょーかいロボ!」

集団「4対4、特殊ロボトル、ファイッ!!ロボ」


第11話 〜恐怖〜



いまだかつてない掟破りのロボトルが始まろうとしている。

大会公式ルールではメダロットの参戦は3対3が限度である。

だが今回このクルス山で行われるロボトルは4対4。1体多いのだ。

紫苑側のメダロットはレプラス、イクシオン、ヘルメス、ステルミア。

バベル「このオレがガキ相手とはやる気がでないロボが、パーツも集められて一石二鳥。

    者ども!ぬかるなよロボ!」

者ども「りょー、かい!ロボ!」

バベル「お前ら同じセリフしか喋れんのかロボ!!」

12号「ラジャー、ロボ!」

8号「わかりましたロボ!」

45「肝に銘じます、ロボ!!」

バベル「・・・・・・では我らの勝利を祈って・・・アーメン!ロボ。」

12、8、45号「アーメン!ロボ。」

ロボロボ団の使用メダロットはサイズカッター、コフィンバット2機、ゴーフバレット1機である。

製品名サイズカッター。カマキリをモチーフとし、両腕の鎌の切れ味はバツグン。

製品名コフィンバット。コウモリの初号機で頭部、両腕から強力な電波を発射する。

製品名ゴーフバレット。コウモリの改良機。初号機が電波に対しこちらはいっきに30以上の小さなミサイルを発射できる。

イクシオン「くっ・・敵3体は飛行でごわすか!?」

ゲンブ「ヘルメス、空は構うな、地上に集中しろ!」

サイズカッター以外は飛行による高速移動が可能である。

この草原のような場所では空を遮るものがないため飛行は完全に有利である。

レプラス「でも今の僕は一味違う!」

紫苑「レプラス、対空射撃!」

レプラス「あいよ!」

ビャッコからもらった右腕「ハンドルハンド」は飛行タイプの敵にバツグンの能力を発揮するミサイルを撃てる。

コウモリ3機「ロボーーーー!!」

ゴーフバレット、コフィンバット2機はミサイルに飲み込まれた。ティンペットだけが地上に転がる。

バベル「役立たずどもが・・・お前ら明後日の夕方までメシ抜きだロボ!!」

12、8、45号「しぇえーーーーーロボ!!!」

ゲンブ「ヘルメス、肩を撃ち抜け!」

オシロイ「イクシオン!ビーム発射!」

レプラス「ハンドルハンド!」

3体の攻撃が同時にサイズカッターに命中、小規模な爆発と大きな音が響く。

だが煙に紛れてサイズカッターがヘルメスに突っ込んできた。両の鎌を振り下ろす。

サイズカッター「チッキー!!」

ゲンブ「ヘルメス、後方に回避!」

指示が遅かった。ヘルメスの体をX字に斬られヘルメスが倒れこむ。

ヘルメス「うぐっ・・・無・・無念。」

セイリュウ「ステルミア、修復用意!」

ステルミアの腕は傷ついた装甲を修復させる機能がある。

だがサイズカッターはヘルメスを斬った直後ステルミアの背後に瞬間的に移動していた。

鎌がステルミアの背中を貫く。

ステルミア「くはっ・・・」

貫かれた体を右手で抑えながらオイルを撒き散らしステルミアも倒れこむ。

レプラス「ステルミア!ヘルメス!」

バベル「人の身より自分の身を心配しろロボ!」

レプラスの真上にサイズカッターが現れる。鎌を頭目がけて下ろした瞬間真横からイクシオンが飛び出してきた。

サイズカッター「キィ!?」

イクシオンは二つの棍棒で鎌を受け、動きを止めた。

すかさずレプラスがサイズカッターの足をストローハンマーで殴り飛ばす。

サイズカッター「チキ!!」

いきなりサイズカッターの背中から炎が点火した。サイズカッターの頭部の能力はブースター。

本来は鎌と併用して使うものだがブースターのみ使いイクシオンを近くの木に押し込む。

木はバキバキと折れ、鳥が空に逃げるようにはばたく。

レプラス「イクシオン!」

バベル「さて・・残るはお前だけだロボ。」

紫苑「3体が秒殺・・・・!?」

上空の同じ所をグルグル旋回しているメダロットが1体いる。

腕組みしながら同じ方向を見て脚部のブースターのみグルグル回っている。

下の方で爆発がしている。オイルのにおいもしてくる。

???「マスターの命令だから仕方ない。助けてやろうか。」

白銀のメダロットは止まったかと思うと急降下していった。



紫苑「レプラス、右!・・・・左!」

レプラス「うわっ!・・・おぅ!?」

レプラスはサイズカッターの猛攻を避け続けていた。時々左腕で反撃するが命中しない。

右腕のミサイルで撹乱するが効果は今一つである。

サイズカッター「チキ!・・・チェキ!・・・チキー!」

レプラス「うぉ!・・・わっ・・・この!」

バベル「くぅ・・ちょこまかとーロボ。サイズカッター!十字一閃だロボ!」

十字一閃、それは二つの鎌を同時に縦、横ニ方向同時になぎ払う攻撃である。

近距離でやられたら回避の仕様が無い。

レプラス「ぐあっ!」

レプラスの頭部に深い傷が入り、右腕が真っ二つになる。そこへサイズカッターが鎌をもう一度振り下ろす。

紫苑はダメだと思い固く目を閉じた。

サイズカッター「チキーーー!?」

驚いて目を開けると紫苑のすぐ足元にサイズカッターの左腕の残骸が転がっている。

そしてレプラスはサイズカッターの頭に向かってパンチを一つ繰り出していた。

バベル「な・・・何事ロボ!?」

バベルのすぐ後ろで小さな風の渦ができている。その渦はサイズカッターに近づく折、

脚部を粉々に砕いたのである。

サイズカッター「チキキー!!?」

レプラス「何が起こってるかわからないけど・・・チャンス!!」

紫苑「レプラス、左腕で後頭部を叩いて!」

レプラス「あいよ!!」

サイズカッターの頭部を後ろから殴る、また殴り殴り飛ばす。そして背中からメダルが1枚飛び出した。

バベル「ガキ相手に負けたロボ・・・・?途中からでてきたあの風はなんだロボ!!?」

ゲンブ「事情はどうあれ・・一応こちらの勝ちだ。引いていただこう。」

バベル「あぁ!引くロボ!でも掘ったものは持ち帰らせてもらうロボ!!」

???「いや、それも置いていってもらおうか。」

バベル「誰だロボ!!?」

地上にはびこる小さな渦がしだいに大きくなり竜巻となる。

その竜巻が突如消え一人のメダロットが舞い降りる。

白銀の機体、ゴウカンの使用メダロット、ハデスである。

バベル「さっきの風はお前の仕業かロボ!!」

ハデス「ああ。」

バベル「お前ら卑怯だロボ!!やっぱりここはお前らが引くべきだロボ!!」

ハデス「卑怯?お前らの方じゃないのか?」

そう言うとハデスはバベルの左右、自分のすぐ真上に発砲した。

弾は空中で何かに当たり何かが落ちた音がした。

ハデスはその次に音のした方向にレーザーを撃つ。

バベル「(マズイロボ!!)」

レーザーは何かに当たり爆発、メダロットの頭部が宙を舞った。

製品名ユーリア。背後霊型のメダロットで味方機をパワーアップさせる能力を持つ。

そのユーリアに隠蔽パーツをつけたのが5、6機転がっている。

隠蔽パーツというのは光の屈折を利用し自分の姿を透明にしたり特殊な塗料などで姿を見えなくする効果のあるパーツである。

恐らく隠蔽パーツであらかじめ隠れて陰でサイズカッターの性能をアップさせていたのだ。

ヘルメスやステルミアが一撃でやられるはずである。

ユーリアの中にブースターをつけたものがいくつか見える。

イクシオンを押す時に何体か加勢していたのだ。

ハデス「4対10。これを卑怯と呼ばず何と呼ぶ?」

バベル「くっ・・・・もう強行突破ロボ!者ども!かかれぇ!」

草むらの見えないところから先程のコウモリメダロットがわぁっと湧き上がる。

100機はくだらない数がハデスや紫苑達を取り囲んだ。

バベル「こいつらを生きて帰すなロボ!!」


第12話 〜ハデス〜



オシロイ「こんな数相手にしろってか!?」

ゲンブ「こちらのメダは全て応急措置。かなり無理がある。」

レプラス「ハンドルハンドは壊されてしまったし・・。」

イクシオン「ぐぅ・・5対100(以上)でごわすか・・。」

バベル「ハッハッハーロボ!消えてなくなれロボー!!」

その中小声でハデスがつぶやく。

ハデス「くだらぬ。」

紫苑「!?」

ハデス「お前らのメダなど何百、何千体集まろうが所詮ザコだ。」

そう言って腕を組んだ。右肘から刀を取り出す。

その刀を左手で持ち、静かに構える。

ヘルメス「やる気なのか!?」

ステルミア「・・・・・。」

ハデスは構えたまま動かない。コウモリ型メダロットの位置を横目で確認している。

イクシオン「おいどんも援護するでごわす!」

イクシオンが棍棒を上に構えた。

だがハデスは取り出した刀をまた右肘に戻したのである。

イクシオン「!?どうしたんでごわす!!?」

バベル「ザコとはよくほざいたなロボ。まだ何もしていないのにあきらめたのかロボ!?」

ハデス「お前の目は節穴か?」

そう言い放った直後全てのコウモリ型のメダロットが爆発する。何百枚ものメダルが雨のように降り注ぐ。

バベル「!?な゛ッ・・・ロボ!」

ステルミア「・・・・・(さすがだな・・。)」

レプラス「マジ?」

45号「バベル様・・もう打つ手が無いロボ・・・。」

バベル「うぐぐぐぐ・・・・覚えていろロボーーーーーーーー!!!!者ども、退却ロボ!」

黒い点を先頭に慌しい数の白い塊が逃げていく。それは白い小さな虫の集団のように気味悪い。

紫苑「あ・・ありがとう・・。あの・・名前は?」

ハデス「ハデス。」

レプラス「(ハデス・・・・。)」

ハデス「マスターの命令が無ければこんな無駄なことはしなかったが・・・まあいい。

    用はほかにある。」

ゲンブ「ロボロボ団が何かを掘っていたようだがそれですか?」

ハデス「ああ・・・・・・・・(マスターが見込んだ奴なら・・・試してみるか)

    奴らは古来から伝わる宇宙から来たメダロットを掘っていたのだ。」

セイリュウ「宇宙!?」

ハデス「見てみるか?」

ハデスに言われて紫苑達は穴の中を見た。石や土で見にくいが、灰色や黒の機体が見える。

オシロイ「これが宇宙から来た・・・メダ・・・ロ・?」

紫苑「どうしたの?オシロイ君?・・・・あれ?」

紫苑達は突然めまいに襲われた。気がどんどん遠くなっていく。

ヘルメスやステルミア、イクシオンも一緒である。

レプラスを除きみんな地に倒れこんだ。

レプラス「紫苑?みんな!?」

ハデス「やはりお前は大丈夫だったか。」

レプラス「ハデス・・・紫苑達に何をしたんだ!?」

ハデス「何もしていない。恐らくこの埋もれたメダロットの気に触れたのだろう。」

レプラス「気!?」

ハデス「ロボロボ団はマスクや金魚蜂などで顔を保護している。だから気絶することはなかった。

    だがお前のマスター達は何も防御していないから気絶したのだ。

    メダロットも同様、この気は一部のメダロット以外を機能停止させることができる。」

レプラス「一部って・・・じゃあ僕とハデスは一体なんなんだよ?」

ハデス「これ以上長話は今マスターの望むところではない。眠れ。」

ハデスはレプラスののどを軽く人差し指で突いた。

レプラス「うっ・・・ぐ・・・。」

レプラスもついに気絶した。

レプラスは気が遠くなる途中、ハデスの言葉を聞いた。

ハデス「おまえはわれらの・・・・・・・・・・」

レプラス「(われらの・・・・なんだハデス・・・?)」

気がついたときレプラスは紫苑の部屋にいた。紫苑はベッドで寝ている。



ハデス「メダロット『ストロ』確認。このまま本部に輸送する。」

ハデスは埋まっていたメダロットを掘り出し抱えるとそのまま星空に消えていった。
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